単身赴任には、家族と離れる寂しさや生活費の負担増加、ワンオペ育児や家事の負担といったデメリットが多く、「単身赴任なんてばからしい！」と感じる人も少なくありません。
しかし、現実的にその状況から抜け出すのは難しい場合もあります。
だからこそ、ネガティブな感情にとらわれるのではなく、ポジティブな気持ちで単身赴任期間を過ごすことも大切です。
この記事では、単身赴任がばからしいと言われる理由や、その状況を回避するための方法を解説します。
また、単身赴任を前向きに楽しむためのヒントも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
単身赴任が「ばからしい」と言われる理由
ここでは、単身赴任が「ばからしい」と言われる理由を紹介します。
家族と一緒に過ごせなくなる
単身赴任が「ばからしい」と言われる理由の一つは、家族と過ごす時間が大幅に減ってしまうことです。
週末に帰省できたとしても、移動の疲れで家族との時間を十分に楽しむ余裕がない場合もあります。
さらに、会社によっては月に1回すら帰省が許されないこともあり、その場合、年に帰れるのはわずか12回程度です。
毎日一緒に過ごしていた家族と離れるのは、非常に寂しいものです。
たとえビデオ通話で顔を見られるとしても、直接会うこととはまったく違います。
家族との時間が極端に減ることで、「そこまでして会社に尽くす意味があるのか」や「家族を犠牲にしてまで仕事を優先する必要があるのか」といった疑問が生じることがあり、その結果、単身赴任は「ばからしい」と感じられるのです。
子どもの成長をそばで見守れない
単身赴任をすると、子どもの成長をそばで見守る機会が大幅に減ってしまいます。
子どもの成長は驚くほど早く、毎日一緒に過ごしていれば気づける些細な変化も、離れて暮らしていると見逃してしまうことが多いものです。
さらに、運動会や発表会といった学校行事にも参加できない場合があり、親としての役割を果たせないと感じることもあります。
特に子どもが幼い場合、父親としての存在感が薄れてしまい、帰省時に懐いてもらえないことも少なくありません。
家族の中で距離を感じてしまうことは、単身赴任がもたらす大きな寂しさの一つです。
こうした理由から、単身赴任を「ばからしい」と感じる人も多いのです。
NHK総合テレビの『チコちゃんに叱られる』で、関西大学社会学部の保田時男教授が紹介した調査によると、親が生涯で子どもと一緒に過ごせる時間は、母親で約7年6ヶ月、父親では約3年4ヶ月とのことです。
夫婦間の距離が広がり、離婚につながるリスクがある
二重生活による物理的な距離が、夫婦の心の距離も広げてしまうことがあります。
毎日顔を合わせなくなることで、コミュニケーションが不足しがちになり、些細な誤解がやがて大きな溝へと発展することも珍しくありません。
また、単身赴任中の寂しさから、 浮気や不倫に走ってしまうケースも少なくありません。
仕事に追われて忙しい毎日を送り、家族との時間が減る中で心の隙間が生じ、外部での癒しを求めてしまうこともあるのです。
このように、単身赴任は家族の絆に深刻な影響を与え、夫婦間の信頼関係を崩す原因となり、最悪の場合、離婚につながるリスクを高めてしまいます。
そのため、単身赴任をばからしいと感じる人も多いです。
二重生活で生活費が増える
単身赴任がばからしいと言われるのは、二重生活に伴う経済的な負担が大きいためです。
住居費、食費、光熱費などがすべて2倍になり、家計が赤字になるリスクも高まります。
会社から単身赴任手当が支給されても、増加した支出をカバーすることはほとんどできません。
赴任先と自宅の両方で節約を徹底しないと、さまざまなところに負担がかかる可能性があります。
家計の見直しや節約、収入の増加など、金銭面での悩みが増えるため、単身赴任に対してネガティブなイメージを持つ人は少なくありません。
新しい職場での人間関係に苦労する
単身赴任では、慣れない土地での生活に加え、新しい職場での人間関係構築も大きな課題となります。
特に、年齢や経験が異なる人たちと仕事をする場合、コミュニケーションギャップや価値観の違いに戸惑うことも少なくありません。
以前の職場で人間関係が良好だったとしても、赴任先で同じように築けるとは限らず、職場の雰囲気や同僚との相性が合わずに苦痛を感じることもあります。
新しい環境で一から人間関係を構築する必要があることから、苦労を伴うこの状況を「ばからしい」と感じる人もいます。
購入したばかりのマイホームに住めない
持ち家を購入したあとに単身赴任の辞令が出ると、せっかく手に入れたマイホームに住むことができなくなってしまいます。
「家族と一緒にマイホームで思い出を作りたい」という思いがあっても実現するのは難しく、住宅ローンを抱えながら赴任先での住居費も負担するとなると、経済的な負担もかなり大きくなります。
家族との時間を犠牲にし、購入したばかりのマイホームにも住めないという状況は、誰でも「ばからしい」と感じてしまうのも無理はありません。
単身赴任の終わりが見えない
単身赴任の期間は、企業や職種によって異なります。
数年で終了することもあれば、10年以上続くこともあります。
また、現在の赴任先から異動になった場合でも、元の場所に戻れる保証はどこにもありません。
家族との生活を犠牲にする期間が長くなるほど、「ばからしい」という気持ちが強くなってしまうのも当然です。
単身赴任を実施している企業の割合は？
独立行政法人労働政策研究・研修機構の「企業における転勤の実態に関する調査」によると、回答した企業の33.7%が「正社員のほとんどに転勤の可能性がある」と答えています。
また、27.5%の企業は「転勤する社員の範囲が限られている」と回答しました。
さらに、従業員数が1,000名以上の企業では、50.9%がほとんどの社員に転勤の可能性があるとしています。
「ばからしい」単身赴任を回避・解消する方法
「単身赴任がばからしくて続けられない」「今すぐ単身赴任生活を終わらせたい」と考えている方に向けて、単身赴任を回避・解消する方法を紹介します。
ただし、すぐに単身赴任を解消できる方法はありません。
また、一般的に思いつく方法でも、実際には実現が難しいことがあります。
単身赴任を拒否・解消するには、会社や他の社員、法律や権利など、さまざまな要素が関わるためです。
そのため、「可能性は低いが、このような方法もある」と、あくまで参考として考え、選択肢の一つとして理解しておきましょう。
会社から打診があった時点で断る
まず最初に、転勤の打診を受けた際に断ることについてです。
近年、従業員のワークライフバランスを重視する企業が増えており、転勤や単身赴任に対する企業の方針にも変化が見られます。
そのため、単身赴任を打診された際に自分の状況や希望を率直に伝え、断ることを検討する方もいるでしょう。
しかし、断ったからといって、基本的には転勤を回避できるわけではありません。
なぜなら、会社には人事権があり、就業規則にも転勤命令に関する規定が含まれていることがあるからです。
そのため、内示段階で拒否しても正式な辞令が出た場合には、拒否するための正当な理由（異動命令の根拠規定がない、労働者が被る不利益が著しい、業務上の必要性がないなど）がない限り、従う必要があることを理解しておくことが重要です。
単身赴任の苦労や悩みを上司に相談する
単身赴任の生活から脱出したい場合は、上司に相談する方法もあります。
単身赴任に伴う経済的な負担や精神的なストレスなど、具体的な悩みや不安をしっかり伝えましょう。
会社によっては、配置転換を検討してくれる可能性もあります。
また、配置転換まで至らなくても、単身赴任手当の増額や帰省のための交通費補助の増額など、帰省回数を増やすための支援が得られるかもしれません。
もちろん、何も対応してもらえないことも考えられますが、それでも相談してみる価値はあります。
異動願を提出して希望を伝える
会社によっては、定期的に異動願を提出できる制度があります。
単身赴任を解消したい場合は、異動願に希望勤務地や家族の状況などを具体的に記載し、提出する方法があります。
ただし、異動願が必ずしも受け入れられるわけではありません。
会社の事業状況や人員配置などの事情により、希望が通らないこともあります。
定期的に異動願を提出し、自身の希望を会社側に継続的に伝え続けることが大事です。
すぐに単身赴任生活から脱出できる方法ではありませんが、このような選択肢があることも覚えておきましょう。
転勤のない会社へ転職する
単身赴任を根本的に回避したい場合、転勤のない会社へ転職するという方法があります。
転勤の可能性が低い企業の特徴は、次のとおりです。
- 支社や事業所がない企業
支社や事業所が存在しない企業では、転勤の発生可能性が非常に低くなります。 - 本社勤務が必須の職種
法務や経理、経営企画など、本社勤務が基本の職種では、転勤を命じられる可能性は少ないでしょう。 - エリア限定社員
エリア限定社員として採用されると、特定の地域での勤務となり、転居を伴う転勤は避けられます。 - 会社を拠点としない業種
リモートワークを導入している企業では、転勤の必要性がない場合があります。
ただし、転勤には時間がかかることがあり、家族と相談することも大切です。
また、引き継ぎが必要となるため、早めに会社に伝えておく必要があります。
転職エージェントは無料で利用できるため、早めに登録して情報収集を始めることをおすすめします。
すぐに条件に合った求人が見つかるかもしれません。
人気の転職エージェントを紹介しますので、参考にしてみてください。
ばからしいけど…単身赴任を通じて得られるメリット
単身赴任には、ばからしいと言われるようなデメリットがありますが、メリットもあります。
単身赴任生活を経験することで、どんなプラスの効果が得られるのかを理解しておくことは重要です。
ここでは、単身赴任を通じて得られるメリットを紹介します。
仕事に集中できる環境が整う
単身赴任では、仕事に集中できる環境が整います。
特に、これまで家事や育児に多くの時間を費やしていた人にとって、単身赴任は自分のキャリアに集中する貴重な機会となるでしょう。
■単身赴任は仕事に集中できる
- 集中力の向上
家族と離れて暮らすことで、気を使うことが減り、仕事に集中しやすくなります。 - 時間の有効活用
自由な時間が増えることで、自分のスキルアップや自己啓発に充てる時間を作りやすくなります。資格取得や語学学習など、キャリアアップにつながる活動に積極的に取り組むことができます。 - 新しい仕事への挑戦
仕事に集中できるからこそ、会社でも新しい仕事に挑戦し、自分に新たな課題を与えることができます。
「ばからしい」と思われがちな単身赴任ですが、仕事に集中できる点は大きなメリットと言えるでしょう。
新しい環境で多くの発見がある
単身赴任は、慣れ親しんだ場所を離れ、新たな土地で生活することで、さまざまな発見や刺激を受ける貴重な機会です。
■単身赴任は多くの発見がある
- 地域文化との触れ合い
赴任先の土地では、これまで知らなかった文化や歴史、食文化に触れることができ、視野を広げるチャンスです。地元の祭りやイベントに参加したり、郷土料理を楽しむことで、地域の人々とのつながりも深まります。 - 人間関係の構築
新しい職場や地域での交流を通じて、人間関係が広がります。異なる背景を持つ人との出会いが、人生に新たな視点を与えてくれるでしょう。 - 趣味の発見
単身赴任を機に、新たな趣味を見つける人も多くいます。自分のペースで楽しめる趣味を持つことは、生活の充実感を高め、単身赴任の寂しさを和らげる効果が期待できます。
このように、単身赴任にはさまざまな発見があり、人生にプラスの影響を与える点は魅力と言えるでしょう。
家族の大切さを再確認できる
単身赴任には、家族と離れて暮らすことによる寂しさや不便さといったデメリットがありますが、その一方で家族の大切さを再確認する貴重な機会にもなります。
日々一緒に生活していると、家族の存在が当たり前になり、あまり意識することがなくなります。
しかし、単身赴任を経験することで、改めて家族の存在やその重要性に気付くことができるのです。
例えば、家事や育児のサポートをしてくれる家族のありがたみを改めて感じることが多く、普段は当たり前に頼んでいることでも、離れてみるとその存在の大きさを痛感することがよくあります。
また、家族と過ごす時間がどれほど貴重で心の支えとなっているかを強く実感することができます。
単身赴任を通じて家族の重要性を再認識することは、今後の家庭生活にも大きなプラスの影響を与えることが多いでしょう。
ばからしいけど…単身赴任を前向きに楽しむためのアイデア
単身赴任には「ばからしい」と言われるようなデメリットはありますが、せっかくの機会ですから、前向きに捉え、充実した生活を送ることが大切です。
単身赴任中は、自分の時間が増えるという大きなメリットがあります。
その時間を有効に活用して、単身赴任生活をより豊かにしていきましょう。
ここでは、単身赴任を前向きに楽しむためのアイデアを紹介します。
新しい趣味を見つけて日々を充実させる
単身赴任中は自分の時間が作りやすいため、新しい趣味を見つけてみるのもよいでしょう。
映画鑑賞、読書、散歩、筋トレ、ゲーム、スポーツ、釣りなど、さまざまな活動に挑戦できる絶好のチャンスです。
趣味を見つけることで視野が広がり、毎日がより充実したものになります。
また、趣味を通じて新たな交友関係が広がることもあります。
お金をかけずに楽しめる趣味も多くあるので、この機会に思い切って挑戦してみましょう。
資格取得の勉強に取り組む
単身赴任中に資格取得に挑戦するのもおすすめです。
時間に余裕ができるため、じっくりと勉強に取り組むことができます。
TOEIC、宅地建物取引士、簿記、中小企業診断士、FP、マンション管理士、ITパスポートなど、さまざまな資格があるため、自分の興味やキャリアにプラスとなるものを選びましょう。
資格を取得することで自信がつき、昇進や転職に役立つこともあります。
独学が苦手な方は、資格取得スクールを活用すれば、効率よく勉強を進めることができます。
人気の資格取得スクールを紹介しますので、参考にしてみてください。
▶▶資格取得・就転職を目指す方のための総合専門校「ヒューマンアカデミー」
■社会人の学び・リカレント教育に関するサイト
スキルアップを目指して自己成長に励む
単身赴任を自己成長のチャンスと捉え、スキルアップに励んでみましょう。
マーケティング、自己啓発、コミュニケーション、経営戦略、会計・財務、リーダーシップ、マネジメント、デザインなどのスキルを磨くことは、今後の仕事やキャリアに大いに役立ちます。
単身赴任中の時間を有効に活用して、将来の選択肢を広げておきましょう。
家族とのコミュニケーションを大切にする
単身赴任中は、家族と会う時間が限られてしまうため、これまで以上にコミュニケーションを大切にすることが重要です。
毎日電話をしたり、LINEでメッセージを送ったりするなど、こまめに連絡を取るように心がけましょう。
例えば、食事の時間に合わせてビデオ通話をすることで、一緒に食事をしているような感覚を楽しむことができます。
コミュニケーションが不足すると、奥さんとの心の距離が広がってしまう恐れもあります。
「単身赴任がきっかけで離婚した」「家庭が崩壊した」といった事態を避けるためにも、しっかりと家族とコミュニケーションを取ることが大切です。
赴任先周辺の観光スポットを楽しむ
単身赴任先が新しい土地であれば、休日を利用してその土地ならではの観光スポットを探索してみましょう。
地元の新鮮な食材を使った料理や、その地域の名物を味わってみるのも楽しみの一つです。
グルメサイトで人気のレストランや隠れた名店を調べて、食の魅力を堪能しましょう。
また、歴史的な観光地としてお城や神社仏閣を訪れ、地域の文化や歴史に触れてみるのもおすすめです。
山や海、公園など、自然の中でリフレッシュし、心身ともにリラックスすることができます。
観光情報は、インターネットで調べるだけでなく、観光案内所や地元の人に聞くのも良い方法です。
新たな発見が待っているかもしれません。
副業で収入アップを目指す
1人の時間を有効に使って、副業で収入アップを目指すのもおすすめです。
副業で得た収入を使って、年末年始に海外旅行に行ったり、記念日を特別に祝ったり、欲しいものを買ったりすることができます。
月に2〜3万円でも稼げると、自由に使えるお金が大きく変わります。
クラウドソーシングサイトを利用すれば、自宅で気軽に副業を始めることが可能です。
また、最近ではスキマバイトも注目を集めています。
収入を増やしたい方は、このチャンスに副業を始めてみましょう。
人気のクラウドソーシングサイトとアルバイトサイトを紹介しますので、参考にしてみてください。
■副業・兼業に関するサイト
料理や家事のスキルを磨いて家族を喜ばせる
単身赴任中は、すべての家事を自分でこなす必要があり、大変に感じることもあるでしょう。
ですが、この機会を活かして料理や家事のスキルを磨けば、単身赴任後に家族を喜ばせることができます。
また、帰省時には美味しい手料理をふるまったり、テキパキと掃除や洗濯をこなしたりする姿に、奥さんやお子さんもきっと感激するはずです。
料理や家事が楽しくなれば、新たな趣味としてストレス解消にもつながるかもしれません。
まとめ
単身赴任は、家族と離れる寂しさや生活費の負担増など、確かに多くのデメリットがあります。
そのため、「単身赴任なんてばからしい」と感じることもあるでしょう。
しかし、現実的にその状況を変えるのは難しいことが多いのも事実です。
だからこそ、ネガティブな感情にとらわれず、むしろこの期間を自己成長や新たな挑戦の機会として前向きに捉えることが大切です。
この記事で紹介した内容が、少しでもお役に立てれば幸いです。
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